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Archive for the 'Advanced Japanese' Category

Advance Japanese Lesson – Haiku: 閑(しづ)かさや (Stillness)

俳句…と聞けば、松尾芭蕉が有名ですね。彼は俳句の基礎を作り、旅をしながら自分の感動を芸術的に表現しようと探究を重ねました。多くの代表句の中から『奥の細道』に収録されている夏の作品を一つ紹介しましょう。 閑(しづ)かさや岩にしみ入(い)る蝉の声 松尾芭蕉 「しずか」とは音のしない状態を表わし、一般的には「静」の漢字を使います。ただ「静」の文字は「音や動きがなく、しずまりかえった様子」を意味するのに対し、この句に使われている「閑」には「のんびり、ゆったりとしてしずかに落ち着いている様子」という意味があります。ちなみに当時は、現代とは異なる仮名遣いをしていたため「閑」のフリガナは「づ」と書きますが、発音は「ず」で構いません。 さて、蝉が鳴いています。その声は、まるで周囲の岩にしみ込んでいくようだった、と表現されています。 この句は山形県にある立石寺(りゅうしゃくじ)という山寺で作られました。ここは多くの人が仏教の修行のために訪れる寺で、山道は険しく岩はごつごつしていたとか。芭蕉もそんな険しい道を汗を拭きながら登ったのでしょう。道中、聞こえてくるのは蝉の鳴き声だけ。ふと足を止め、ゆったりした時間の中で蝉の声に耳を傾けたのかもしれません。 名句と言われるこの作品も、実は三回も書き直されたそうです。1689年、彼が四十六歳の頃の作品です。 ==== In the world of haiku, Matsuo Basho is very famous figure. He created the foundations of haiku, and researched this form of expression by artistically... Show more

Advanced Japanese Lesson – こわい (Fright)

東京の旅館に北海道からの旅行客が泊まりました。部屋まで案内すると、客たちは口々に「あぁ、こわい」「こわい、こわい」と言うではありませんか。案内してきた仲居さんは驚いて、慌てて洗面所の鏡をのぞき込みました。しかし、そこに映っていたのは普段と変わらない自分の顔。 厨房に行って、同僚に「ねぇ、私の顔って怖い?」とたずねました。「え? 別に…。いつもと同じ顔よ」「さっき案内したお客さんが、私の顔を見て『こわい、こわい』って言ったのよ」。 その会話を聞いていた板前さんが、「どこから来たお客さんだい?」と尋ねます。「確か北海道からのお客さんだったわ」と仲居さん。「そりゃ、方言だよ。北海道では『怖い』というのは『疲れた』って意味だぜ」。 こうして仲居さんの謎は解けました。「こわい」という単語を「恐ろしい」という意味だけだと思っていたので、このような誤解が生じたのです。 北関東から北の地域では、「こわい」を「疲れた」という意味でも使います。さらに、西日本や中部地方では「食べ物が硬い」という意味での「こわい」の用法があります。ですから、「このご飯、こわいねぇ」という文章は、ご飯がおそいかかってくるわけではありませんのでご注意を! ===== Fright : Travelers from Hokkaido stayed in a Ryokan (Japanese style inn) in Tokyo. When shown to their room they were all saying "Ah, kowai," (Oh, how scary) and "Kowai, kowai" (Frightening, frightening.) ... Show more

Advanced Japanese Lesson – 赤い色(The Color Red)

「隣の花は赤い」ということわざを知っていますか? これは、「他人のものは何でも素晴らしく見えて、羨ましく思うこと」です。同じ意味で「隣の芝は青い」ということわざもありますね。 さて、なぜ隣の家に咲いている花は「赤い」のでしょうか? 白や黄色の花だってあるのに、わざわざ「赤」という色を選んでことわざに用いているのには、何か理由があるのでしょうか。 「赤」という色は、日本人にとって「素晴らしい色」「めでたい色」なのです。ですから、結婚式などのお祝い事には赤と白が用いられます。祝賀の記念品として「紅白まんじゅう」が配られることもあります。大晦日の歌番組「紅白歌合戦」を知っている人もいることでしょう。 「紅白」の「紅(くれない)」は「鮮やかな赤色」を表わしています。これ以外にも赤い色を表わす漢字は「朱(しゅ)」(黄色を帯びた赤色)、「丹(に)」(茶色を帯びた赤色)、「緋(ひ)」(濃い赤色)があります。 ところで、あなたの国の子どもたちは太陽を絵に表わすとき、何色を使いますか? 日本の子どもたちはほぼ全員が赤色を用います。日本の国旗も、白地に赤い丸の「日の丸」ですね。このように、「赤」という色は日本では特別な色なのです。 ===== Have any of you ever heard the old saying "the flowers next door are red"? This means, "the things that others have always look better and make people envious." There's also the saying "the grass is always... Show more

Advanced Japanese Lesson – 紫陽花 (Hydrangea)

六月の花といえば「あじさい」。日本では、白、ピンク、水色、紫と様々な色のあじさいが咲きそろいます。高さは一メートルくらいで、卵形の葉は光沢のある緑色。葉の縁がギザギザしているのが特徴です。 小さな花びらが集まって咲くあじさい。その名前は花の色に由来しているとか。青より少し濃い色を「藍色」と呼びますが、この「藍色が集まったもの」を表わす「あづさい」が変化して「あじさい」になったそうです。しかし、花びらのように見える色のついた部分は「がく」で、中心にある小さく目立たない部分が花であることは意外に知られていません。 ちなみに、色鮮やかな「がく」は土壌の性質や開花からの日数によって微妙に色を変えます。初めは水色だったのに、だんだんと藍色になり、続いて赤みを帯びて紫色になるのです。この変化していく様子から、「心変わり」という花言葉が生まれたのだそうです。 漢字では「紫陽花」と表現し、「紫」の文字は紫色を、「陽」の文字は太陽、ひいては日が経つこと、「花」の文字は花を表わします。つまり、「太陽を浴びて日が経つと紫色に変わる花」という意味ですね。 雨の滴がしたたるあじさいはロマンティックで、いつまで眺めていても飽きない風情があります ==== Hydrangea : When people think June, they think of "Ajisai" (Hydrangea). In Japan white, pink, light blue, purple and hydrangea in a number of other colors are in bloom. The plants grow to about a meter in... Show more

Advanced Japanese Lesson – 水無月 (Month of water)

古来、日本人が使っていたカレンダーでは六月のことを「水無月」(読み方は「みなつき」、「みなづき」)と呼んでいました。漢字の意味は「水が無い月」。しかし、日本では五月から七月にかけて雨続きの天候が続きます。これが「梅雨」(「つゆ」と読みます)ですね。雨がたくさん降る月ですから「水が無い月」ではなく、「水が有る月」と表現した方がよいのに、なぜ「水が無い」という名前がついているのでしょうか。 実は、「みなつき」の「な」は「~の」という意味なのです。つまり、直訳すると「水の月」。水に縁の深い一ヶ月を指しているのです。天候もそうですが、日本ではこの季節に主食の米を育てるため、田に水を引き入れます。ここからも、水との関連がうかがえます。 さて、水無月ほど有名ではありませんが、他にも六月を表わす月の呼び方があるのを知っていますか? たとえば、「風待月」(かぜまちづき)。初夏の涼しい風を待つような一ヶ月、という意味です。ロマンチックですね。 ちなみに、「水無月」という名の和菓子もあります。これは、三角形の白い餅みたいな外郎(ういろう)の上に小豆が乗っているものです。見た目も涼しげ、甘さ控えめでおいしいですよ。 ===== The sixth month of the lunar calendar : On the ancient Japanese calendar the sixth month of the year was called "Minatsuki" or "Minadzuki." The characters mean 'a month without water.' But in Japan, from about May to July... Show more

Advanced Japanese Lesson – おやつの由来(ゆらい); The origins of “Oyatsu”

昼食からしばらくすると、「少しお腹が空いたな」と間食をする人もいるのではないでしょうか。 日本では、この間食のことを「おやつ」と呼んでいます。 「おやつ」の「やつ」は「八つ」、つまり「8」を意味しています。昔の時刻で「八時」に当たる「八つ刻(やつどき)」は、現在の二時から四時ごろを指しているそうです。 江戸時代、人々は一日二食で暮らしていました。すると「八つ刻」くらいにお腹が空いてくるのですね。昔の人は夕食までの空腹を満たすために、果物や木の実、しだいに団子や煎餅などを口にするようになったとか。 ちなみに、「おやつ」の「お」は大切に思う気持ちを託した丁寧な表現です。それというのも、京都では「八つ」の時刻を告げていたのは人々の信仰が厚い本願寺の太鼓だったから。現在でも、「おやつ」が一つのことばとして使われ、「お」を省略して「やつ」とは言いません。 明治時代に入って新たに時刻制度が導入され、「お三時」とも言うようになりましたが、三時以外の時刻に食べる間食も含めて「おやつ」という呼び方が一般です。 私たちの脳は仕事に勉強に、と常に働いています。カロリーオーバーにならないように注意しつつ、リラックスタイムにおやつを楽しむのも良いですね。 === Just a little while after lunch a lot of people say to themselves "I'm a little bit hungry…" and pick up a snack. In Japan, this snack is called "Oyatsu." The word "Oyatsu" comes from the word "Yattsu"... Show more

Advanced Japanese Lesson – 高いもの

皆さん、初めまして。英(はなぶさ)いつきです。私は、幼い頃から日本語に関する勉強が好きで、以前は高校で国語教員をしていました。このブログを通じて、皆さんと一緒にことばの面白さを分かち合えたら嬉しいです。 では早速、今回は「高い」という表現について考えてみましょう。 「背が高い」とは、どういう意味でしょうか? 「高い」は「下から上への距離が大きく離れること」を意味しています。だから、「背が高い」とは定規で地面から測っていくと上の方で目盛りを読む状態を指しています。  では、「鼻が高い」とは、どういう意味でしょう? 頬から鼻の先まで測ってみると長いのでしょうか? いいえ、日本語では「得意になっている様子」を表わしているのです。皆さんも誰かに褒められたり、自慢できることがあったりすると胸をそらして上の方を見ませんか? そうした仕草をしているとき、鼻は普段より高い位置になりますね。 では、「目が高い」はどうでしょう? 目が顔から飛び出すくらい上の方にある状態? 想像すると面白いですね。「目が高い」とは、日本では「良いものを見分ける能力に優れていること」を意味しています。  さらに、「声が高い」はどうでしょうか? ソプラノの声のこと? いえいえ、「声が大きいこと」を表わします。でも、大きな声で話そうとすると不思議と少し音程が高めになりますね。  日本語を学習している皆さんが高いもの…それは「志(こころざし)」、つまり自分を高めようとする熱意です。  ======================================================== Pleased to meet everyone – I’m Itsuki Hanabusa.... Show more