Lesson Transcript

衣が生きて
僕の仕事の根幹にあることで
新しい考え方だと思います
僕はだからその修行時代にそれを入って
今のような理論に行き着いてないんですけど
3日目ぐらいで衣が大切なんだなと漠然と思いました
僕が勤めてた天ぷら屋さんで
衣を冷やすっていうのをすでにやっていて
ふるって冷凍するっていうことを教わったんです
それはもう本当にターニングポイントっていうか
天ぷら屋としてすごく専門店の仕事だなと思って
取り入れてたんですけど
ふるってそれをそーっと冷凍庫に入れて
3日ぐらい置いて水分を飛ばして
パウダースノーの親切のように
親切に足を踏み入れたらキュキュって感じになるじゃないですか
油の温度との冷えた温度とのこの温度差の差によって
衣が入れた瞬間に気化して水蒸気がバーッと出て
瞬間で固まる温度じゃなくて固まるっていうところに
つながっていくので
逆にこういう衣だと
いわゆる天ぷらを上げる190度とか185度とか200度ぐらいの温度になると
衣が空気を含んでるんで
副作を超えてガリガリっとした嫌な口当たりとか
サクッとよりガリっとかジャリっとかなって
焦げた感じの上がりになるので
必然的にやっぱり低い温度帯になっていきました
自然と
これも長いちょっとずつちょっとずつ変化のもとに
変わっていったことです
空気を含んでるんで
こうまとわりつくっていう感じになるんですね
衣の状態を見るともわっとして
メレンゲみたいな感じの手触りっていうか
濃いとか薄いとか
そういうプラスかマイナスかっていう考え方じゃなくて
空気を含んでるっていうところで
立体的なことを考えてるんで
そこら辺がすごく違いになっているかなと思います
わしこちらですね
これはドラムのスティックの余りの材料なんです
だからすごくいい材質
菓子の木だったと思うんですけど
それを太さとか細さとか長さを
指定して作ってもらったんですけど
結果としてすごく丈夫なので
僕の人生はこれで一回でもこれで終わると思います
だから誰かにあげます
欲しい人は
これは木で太さで濃度を見てます
天ぷらのこの抵抗感が細いとダメなんで
だからこの太さじゃないとダメで
持つときもつかみやすいのもあるし
昔からはこれでこれをたくさん束ねて
この卵と水の中に小麦粉を入れて
手首をしなやかにして衣を作ってたんですけど
やっぱりこんなのを何本かやる方が
よりこういうホイッパーで本数がいっぱいある方で作る方が
やっぱり時間も短縮できるし
その分だからグルテンが出にくいってことですね
時代とともにこういう風になって
ホイッパーですね
これにはこだわりはあります
今まで20個ぐらいこういうのを買ってきて
ここに行き着いてるんで
これが一番使いやすいです僕にとっては
切れる包丁で仕事するとか
最新のオーブンで火入れをするとか
そういう調理道具としての性能の差に出てくるっていう考え方を
まずしてほしいんですね
昔は小麦粉がこうふるったのを
ここに常温に置いた状態で
グルテンが力が結局収まってないんですよね
だからその常温で置いてるってことは温度が高いってこと
だからそのためにダマダマにして
ざっくり混ぜることによって
グルテンが出ないようにしてっていう考え方なんですけど
そもそもグルテンが常温に置いて出るならば
冷やして込んでしまったら
グルテンの力をグッと抑え込めるってことを
僕は修行してたある天ぷら屋さんで
そういう理論の取っ掛かりみたいなのを得たんですね
どこまで冷やしていったらいいんだろうっていうのがあるんですけども
実際はマイナス60度の冷凍庫で冷やすんですけど
季節によりますけど
春とかあったかい時期だとマイナス53度とか
冬場だと外気がやっぱり冷えてるんで
マイナス48度とかぐらいに設定して
粉をふわーってふるって
ふるったやつを空気を含ませて
それが壊れないようにそっとマイナス60度の冷凍庫に
最低3日間ぐらいですね
冷やして
小麦粉の水分を飛ばしてしまうんです
衣の作り方なんですけど
卵1個にだいたい水が
えっと
まあ360ccぐらいです
だいたい目安ですね
卵に対して水が多いと
衣がふわっとしてお菓子みたいな感じになってしまうので
だいたい卵1個に水が2合ぐらいですね
360ccぐらいがちょうどいいんじゃないかなと思ってます
それを入れた状態で
ここで卵と水をホイップしていって
ここでちょっと通常の天ぷらの衣よりも
少しこうホイップして
ここで空気を含ませるような感じのイメージで
結構だからしっかり混ぜます
こういう細かい気泡ですね
この空気が後に口どけの感じとか
脱水にする衣の穴につながってくるので
ちゃんと細かく
これに対してふるった小麦粉ですね
薄力粉です
これはもう分量とか言えないので
間隔ですけど
これは200ccのカップで
3回か4回ぐらいに分けて入れていくんですけど
間隔です
季節とか食材によっても違うので
これを入れます
もう混ぜるっていうより
本当にこう
ふるって3日置いてるので
混ぜてるように見えるんですけど
溶かし込んでる感じです
すぐこうスーッと混ざります
ここでも空気を含ませるように
小さいアクションにならないように
大きく大きく動かしていくんです
周りに小麦粉は散ってしまいますけど
それはもう気にせず
通常のこの常温に置いてる小麦粉だと
こういう風に混ぜてしまうと
完全にもうグルテンが出てしまって
もう粘りが出て天ぷらの衣としてはダメなんですけど
こちらが小麦粉のマイナス60度で冷やしてるので
2杯目ぐらいまではどんだけ混ぜてもグルテンは出ません
こういう感じですね
もうこの感覚は本当に何回か失敗しながらやっていってもらわないと
こう触った感じですね
あと空気を含んでるんでもわーっとしています
必ずこのまま使うんじゃなくて
こういう陶器の器なり
もう一つ違う器に移してください
こうそーっと
なぜならこういう外側に付着したこういう小麦粉とかが
あの綺麗な仕上がりを生まないので
必ず移してこういうところはもう余ってしまってもいいです
洗ってください
揚げる準備は完了です
でもあくまでこれも作ってから死んでいくんで
作った時は最高潮の状態で
そこからどんどんどんどんグルテンが出たり
空気が含んだのがしぼんでいくので
揚げる準備っていうかもう油が温まって
さあ揚げますよ食材も全部切りました
さあもうあと揚げるだけですよって
一番最後にしてくださいこの衣を作るってこと
その感覚がまず皆さんあの天ぷら専門の人たちでも
それをやってない人が多すぎるのが
今の天ぷら業界の問題点だと思っています
だから一回もこれお客さん来てから
もうこれを作った状態になっていて
いきなり揚げ出す人という
じゃあこれもう最高の性能を持った衣から
時間が経っているってことは
もうその時点で美味しく物を出すってことに対して
努力が足りてないってことになるので
必ずエビも剥きました
さあ揚げますっていう時に
初めてこれを作ってください
これによって火の入っていく方や
上がっていくスピード温度の使い方っていうのが
変わってくるので
これを一番大事にしてほしいです
僕としては天ぷらとして
衣がそれだけ大事っていうのは
今まで誰も言ってこなかったことなので
そこが僕が世の中にこういうニート目の天ぷらは
他とは違うって言われることの要因の一つは
もうここにあります
下手くそだとどんどん劣化のスピードも速いので
とにかく下手くそなうちほど
こまめに衣を作ってあげて
アスパラにはこの衣が似合うのが似合うかなとか
イメージしながら
彼女に服を似合う服をこうやって選んであげるかのごとく
この子が生きるにはどういうのかなって
最初は漠然でもいいと思うんですよ
それがやっぱり気持ちの問題が
やっぱり積み重なって技術とかを上がっていくことだと
僕は思っているので
その衣が余ってるからといって
当たり前に使わずに
例えば自分の中で10分でもうダメだって
15分でダメだって決めたら
どんだけ量が残ってても
それは処分して新しい衣を作って
それがいい天ぷらを出す秘訣と思って
そこを意識してもらうと
ぐーんと上達すると思うので
衣に対しての意識を
衣がいいと油がうまく育つ
そうすると食材がよく引き立つ
全部繋がっているので
スタートは衣なんです
油だって材料だって
もしかしたらお金を出せば
いいものは買えるかもしれないですけど
衣とかそれは技術の上のもんなんで
やっぱり天ぷらをうまくなるっていう
最大の秘訣は技術なので
やっぱり衣っていうのを
一番大切にしてほしいなと思います
僕は天ぷら職人として
やっぱりそれを一番大切にしています

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