Lesson Transcript
二イトメシュージです |
天ぷらに人生捧げてます |
天ぷらというのは |
いい意味で使われてこなかったんです |
腹を隠しているとか |
本音を出さないという時に |
天ぷら紳士という言葉を |
昔は使われたりしたんですけど |
天ぷらというのは |
包み込んで守っている |
ルックスとしては |
その素材の色とかが見えなかったり |
そもそもそういう料理だと思うんですけど |
僕の場合はやっぱり衣に穴がいっぱい開いているので |
その色が透けて見える色であったり |
衣が立っているというか |
それは僕は生きている衣という風に思っているんですけど |
立体的な佇まいというか |
そういうところが自分の中ではすごい |
自分らしい天ぷらと思って |
衣が溶けて素材の味が出てくるっていう |
それが水分量であったり |
シャッキリした感じ |
ふわっとした感じ |
歯切れの良さ |
天ぷらの聴覚とは |
油の中に食材を入れる時の音であったり |
上がっていく途中の音であったり |
あとはやっぱり |
召し上がっていただく時の口の中で |
衣をほぐれる時の感じの音であったり |
それがまた食材ごとによって少しずつ違っていたり |
天ぷらの嗅覚というのは |
お客様としては |
上がった食材の香り |
揚げている職人としては |
油の中に物を入れた瞬間に |
ネガティブな要素が外にバーっと出てきて |
嫌な香りを嗅ぐ時もあったり |
パンのような甘い香りになって |
上がっていく時もあったり |
油の状態によって油がいい香りになったり |
食材によるんですけど |
全く香りが表に出ない場合もありますし |
ニート目の天ぷらとして |
特徴なところではあります |
手で触ってみた時に衣の |
キメの細かさというのがすごく分かると思います |
触るだけで崩れていくような |
ギリギリに繋がっているって感じですね |
これ見ていただきたいというか |
面白いあれなんですけど |
この火傷なんですけど |
これは全然勲章だと思っているのであれなんですけど |
本当にここ数年の傷で |
飲んで赤くなると |
今見えなくなっているこういう見えないところの |
何もなさそうなところの |
ものすごい点々があって |
20代の時とかの傷が無数に刻まれているんです |
昔の頃は先輩と一緒にコンビで揚げて |
揚げ玉をすくと波が立つんですね |
下手くそなんでいっぱい立って |
ビョンって鍋のこの縁から |
溢れて飛んで |
靴下の上からジューってなるんです |
暑いってカウンターでは言えないので |
我慢するんですけど |
優しい先輩は |
水 |
先輩の揚げている方には水道のところがあるんで |
その小さいボールで水を足にかけてくれたりとかする |
優しい先輩もいたんですけど |
大体の先輩は似合って笑ってほったらかしにするんですね |
あと皮膚もこれ触ってもらったり |
握手してもらうとびっくりするぐらいも硬いです |
指紋がなくなって |
iPhoneとかの指紋認証はもうできないです |
いろんなものをあげて |
はねる食材になるんです |
牡蠣とかハマグリとか |
パーンってパンパンパーンって跳ねるんですけど |
熱って思って |
普通の人は多分すぐ冷やすと思うんですけど |
その冷やすのをすぐすれば |
こんなの何もならないんですけど |
もう少々だとああ飛んだなって感じで |
そのままでやるんですよね |
だからこういうもう無限に |
この20何年も30年近く天ぷら職人やってても |
未だにこういう傷ができるっていうのはそういうことです |
ここで油がぐるぐる回ってるのだと |
お客さんに見せてる時とかあります |
ほらここで油がね |
ぐるぐる回ってるでしょ |
熱くないんですかって熱いよって言うんですけど |
いちいち揚げてるのに熱っていうのは |
天ぷらとしてはかっこよくないっていう |
なんか変な職人の美意識っていうのがあるんですよね |
日本料理の店で最初に修行を始めたんですけど |
そもそも日本料理ってそのポジションごとに |
下働きからだんだんとステップアップして |
焼き物を焼いたりとか天ぷら揚げるっていう部分 |
揚げ物っていう料理法として |
こんだてに組み込んでる店はあるかもしれないですけど |
天ぷらをザ天ぷらとして |
こんだてに入れ込んでる |
例えば3万とか |
高級な海石料理の店で行って |
天ぷらをダイレクトに出してくる店は |
ほぼないと思うんですけど |
僕がまだ修行してた時代は |
そういうことがあって |
揚げ物を司るポジションの人と |
焼き物やるポジションの人と |
同じ人がやっぱり兼任してたんですけど |
その先輩の人がすごく天ぷらっていうものを |
自分が日本料理の店で天ぷらをあげるっていう時に |
専門店にわざわざ勉強しに行ったっていうのを |
一緒にお酒を飲んだ時に |
チラッと聞いたんです |
その人に憧れてたので |
僕もいつか天ぷら専門店で |
天ぷらってどんなのかなって見てみたいなっていうのが |
ちょっとどっかしらにあったんですね多分 |
ちょっと体を壊してやめることがあって |
次どうやって何をしようとしようかなって思った時に |
ちょうど天ぷらは |
全国にある天ぷら屋さんが |
地元のデパートに入ってたんですね |
それでその時の記憶とリンクして |
天ぷら専門店あるねと思って |
働きに行ったんです |
その時に天ぷらと出会って |
一番最初は必ずエビの足の素揚げから |
始まるんですけど |
油の中に物を入れるっていうことでは |
毎日緊張しています |
やっぱり美味しい物を必ず |
満足して帰ってもらわないといけないっていう |
プレッシャーもありますし |
毎日ここに制服というか白衣を着て |
カウンターに立てるっていう幸せもあったり |
とても大事なとこです |
自分の中で |
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