Lesson Transcript

江戸川エリ: はあ……。やっと着いた……。
小林ケン: 今日は道が混んでいましたね。
江戸川エリ: ええ、本当に。タクシーが全然動かなくて。……あ、ここの住人の方ですか?
小林ケン: はい。最近、引っ越してきたばかりなんです。
江戸川エリ: そうなんですね。私もここに住んでいるんです。奇遇ですね。
小林ケン: 僕は小林です。よろしくお願いします。
江戸川エリ: 江戸川です。こちらこそ。小林さんは何階ですか?
小林ケン: 最上階のペントハウスです。江戸川さんは?
江戸川エリ: えっ、ペントハウスですか! すごい……。私は10階です。真ん中あたりですね。
江戸川エリ: お先にどうぞ。
小林ケン: ありがとう。
小林ケン: あの、失礼ですが、江戸川さんは学生さんですか?
江戸川エリ: いえいえ、違いますよ。これでも弁護士なんです。
小林ケン: えっ、弁護士? それは意外だなあ。
江戸川エリ: よく言われます。「弁護士に見えない」って。
小林ケン: いや、弁護士ってもっとこう……怖くて、真面目すぎるイメージがあったので。江戸川さんは、とても明るいから。
江戸川エリ: ふふ。仕事のストレスは、事務所に置いてくることにしているんです。家では楽しくいたいじゃないですか。
江戸川エリ: キャッ! な、何?
小林ケン: おや、止まってしまいましたね。
江戸川エリ: えっ、嘘でしょう? 真っ暗……。どうしよう、閉じ込められた?
小林ケン: 大丈夫ですよ。非常ボタンを押してみましょう。
小林ケン: ……反応がないですね。スピーカーも聞こえないみたいだ。
江戸川エリ: ええっ! どうするんですか? 酸素とか大丈夫かな……。私、こういうの苦手で……。
小林ケン: 落ち着いてください。このビルは新しいから、すぐに誰かが気づきますよ。少し待ちましょう。
江戸川エリ: はあ……。小林さんはすごいですね。全然怖がっていない。私、一人だったら泣いていましたよ。
江戸川エリ: どうしてそんなに冷静なんですか? 普段、どんなお仕事をしているんですか?
小林ケン: 僕は投資家です。主にデジタルの通貨……暗号資産を扱っています。
江戸川エリ: 暗号資産……? ああ、ニュースで聞く「魔法のインターネットのお金」ですね?
小林ケン: まあ、そんな感じですね。
江戸川エリ: 正直、よく分からないんです。「ブロックチェーン」とか言われても、難しくて……。
小林ケン: 確かに言葉は難しいですね。でも、仕組みは単純なんですよ。
江戸川エリ: そうなんですか?
小林ケン: 例えば……みんなで見ている「ノート」を想像してください。
江戸川エリ: ノート?
小林ケン: ええ。「デジタルなノートを想像してください。みんなが見ることができるけど、誰も消すことができないんです」。
江戸川エリ: 誰も消せない……?
小林ケン: はい。だから銀行がなくても、誰がいくら持っているか、全員が確認できる。それがブロックチェーンです。
江戸川エリ: へえ! 「消せないノート」かあ。それなら私にも分かります。なるほど……。
小林ケン: 実は僕、ずっと札幌に住んでいたんです。
江戸川エリ: 札幌! 北海道ですね。寒そう。
小林ケン: ええ、冬はとても寒いです。でも、東京に来てからは、もっと「形のあるもの」に興味が出てきて。
江戸川エリ: 形のあるもの?
小林ケン: デジタルなお金だけじゃなくて、不動産とか、お店とか。実は、この近くにあるテニスクラブを買おうかと考えているんです。
江戸川エリ: ええっ、あの駅前の古いテニスクラブですか?
小林ケン: ご存知ですか?
江戸川エリ: もちろんです! あそこ、歴史があって素敵ですよね。小林さんがオーナーになるかもしれないなんて、世間は狭いですね。
江戸川エリ: 小林さんって、意外と面白い方ですね。ご趣味は?
小林ケン: 漫画を読むことです。
江戸川エリ: 漫画! また意外ですね。投資家なのに。
小林ケン: 漫画は「現代の神話」ですよ。ヒーローの話とか、大好きなんです。江戸川さんの趣味は?
江戸川エリ: 私は……お芝居です。アマチュアですけど、劇団に入っているんです。
小林ケン: 演劇ですか! へえ、似合いますね。
江戸川エリ: 実は、仕事にも役立つんですよ。「弁護士というのは、演技なんです」。
小林ケン: 演技?
江戸川エリ: ええ。「声やボディランゲージを使って、人を説得しないといけませんから」。
小林ケン: なるほど。
江戸川エリ: 「異議あり! その証言は矛盾しています!」……なんてね。こうやって、自信があるフリをするんです。
小林ケン: おお、すごい迫力だ! 今の声、まるで女王様みたいでしたよ。
江戸川エリ: でも、本当の私はただの心配性なんですけどね。さっきみたいに。
小林ケン: 僕もそうです。本当はただの漫画好きのオタクですよ。でも、仕事ではクールな投資家の顔をしている。
江戸川エリ: お互い、イメージとは違いますね。
小林ケン: そうですね。「僕たちは、型破りなんですよ」。
江戸川エリ: 「型破り」。いい言葉ですね。誰かが決めたイメージ通りに生きる必要なんてないですから。
江戸川エリ: あ! 動いた!
江戸川エリ: よかったあ……。助かった……。
小林ケン: 無事でよかったです。
江戸川エリ: 小林さん、ありがとうございました。おかげでパニックにならずに済みました。
小林ケン: いえいえ。お話しできて楽しかったですよ。
江戸川エリ: あ、そうだ。これ、私の名刺です。
江戸川エリ: 何でもやる弁護士ですから。もし、そのテニスクラブを買うことになったら、契約書のチェックとか手伝いますよ? 近所の噂話も教えますし。
小林ケン: それは頼もしいですね。ぜひ相談させてください。
江戸川エリ: では、私はここで。
小林ケン: おやすみなさい。
江戸川エリ: いえ、業界風に言いましょうか。「お疲れ様です。良いステージを!」

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